半導体
バイポーラトランジスタ
構造
バイポーラトランジスタはダイオードにもう一つ、N型半導体もしくはP型半導体を接合して、PNP構造、または、NPN構造としたものです。このトランジスタで重要な事は、このホームページの電子回路のところに出てくるように、増幅作用を持たせることが出来ることです。
それぞれの端子の呼び方ですが、エミッタ、ベース、コレクタとなります。
エミッタは、注入すると言う意味で、コレクタは集める物です。
ベースは、土台なのですが、全く制御とは関係ないですね。
説明は、NPN構造で行います。PNP構造の説明は、電子をホールに、ホールを電子に置き換え、電源の接続の+と−を入れ替えます。
単に接合した状態では、ダイオードで説明したように、ふたつの接合部分に空乏層ができます。バンド図は同じ図の(b)になっています。ここにまず、エミッタとコレクタ間に電源を図のように接続します。この状態でも電流はながれません。
増幅作用
つぎに、エミッタとベース間に図のように順方向の電圧を加えます。するとベースからはエミッタにホールが供給され、エミッタからはベースに電子が供給されます。ここで、ベースに注入(Emit)された電子の振る舞いをみてみます。エミッタからは、ベースでは少数キャリアである電子が注入されます。注入された電子は、ベース内を拡散していきます。ベース内の少数キャリアはダイオードであればP領域のホールと結合してしまいますが、トランジスタではベースが薄く(距離が短く)、しかもエミッタに比較して不純物濃度を小さく作っています。このため、ベース内の小数キャリアである電子の多くは、コレクタ(正確にはベース内のコレクタ側の空乏層)まで到達することが出来ます。つまり、ベース内で再結合によりベース電流となる電子よりもコレクタ側に到達する電子が多く、これが電流増幅作用として利用されることになります。
エミッタから注入されたキャリアとコレクタに到達するキャリアの比をαで表します。
普通のトランジスタのαは、0.99程度です。ベース電流とコレクタ電流の比をβと表し、次の関係があります。
なぜ、ベースはなのか?それは、ベル研でトランジスタの発明されたとき、土台に2本の電極をたてた構造でした。2本の電極はそれぞれ、エミッタ、コレクタ、それと土台(base)の電極だったからです。