半導体
バンド理論と電気伝導
バンド理論
電子は原子核の周りを回っていますが、その軌道は、その電子が持つエネルギーできまり、その値は飛び飛びです。値が飛び飛びと言うことは、その軌道も飛び飛びの値しか持てません。軌道がきまるエネルギーをエネルギー準位と言いますが、原子核の近くの軌道のエネルギー準位は大きく変わることはありませんが、原子核から遠い軌道のエネルギー準位は周囲の影響によって枝分かれしています。固体の場合を考えると、固体は原子が密集している状態で、どのエネルギー準位がどの原子核の物か分からない状況になり、このエネルギー準位をまとめて考える事ができるようになります。これがエネルギー帯(enargy band)です。
このエネルギー帯の上端と下端とは、それぞれ分裂した準位の最大と最小のエネルギー準位に対応していて、電子の入りうるエネルギー帯を許容帯(場合によって、充満帯と伝導体、価電子帯などになります)、電子の入れないエネルギー帯を禁制帯といいます。このような考え方がバンド理論です。
導体、半導体、絶縁体のエネルギー帯構造
電子は原子核に近い方から埋まっていき、たとえば、炭素は原子番号は6で、持っている電子の数は、6個、これが近い方からうまると最初が2個、次が4個できまり、エネルギーの高い軌道は存在しません。この無いエネルギー帯を空帯といいます(許容帯でも電子が入っていない)。その下の2,4個の軌道は充満しているので、このエネルギー帯は充満帯になります(原子に強く引かれている電子が入っている許容帯)。
原子から離れているために、原子から離れて移動できるような電子入っているところを、伝導体と呼びます。
導体は、エネルギー帯で充満帯から伝導体の間が重なっているような構造になっているため、伝導体中の電子が移動しやすく、電流が流れます。
絶縁体は、充満帯と伝導体までの間の禁制帯の幅が広く、大きなエネルギーを充満帯の電子に与えないと伝導体に電子が入らないので、電流が流れません。
禁制帯の幅(伝導体と充満帯の間のエネルギーの差)をエネルギーギャップと言います。
導体にはエネルギーギャップがなく、絶縁体のエネルギーギャップは大きいと言うことです。
半導体の電気伝導
半導体とは、エネルギーギャップはあるが、その幅が小さく物質です。熱などにより電子にエネルギーが加わると、充満帯から伝導体へ電子が移動します。このときに、充満帯には、電子の抜けたところが有るように見えます。これがホールです。
伝導体中の電子が+の電圧に引かれて移動すると電流になります。電流の向きは電子の移動方向と反対になります。充満帯中のホールがあたかもーの電圧に引かれて移動しているようにみえ、これも電流になります。ホールの移動方向は電流の向きと同じです。
ここまでの説明で半導体と言うのは、電気抵抗が絶縁体と導体の間だからという単純な意味ではないことが分かります。
フェルミ準位
真性半導体(100%のシリコンなど)では、電子とホールは同じ数存在します。
半導体のフェルミ準位は電子とホールの存在確率を表していて、真性半導体では、電子とホールの数が同じであるために、伝導体と充満帯のほぼ中間になります。