Appendix of Kairoya

付録

電子の速度

電子の移動速度

1)銅線の重さは、銅線の密度 8.92g/cm^3と体積から
7.0gとでます。
2)原子の個数は、
アボガドロ数Na=6.0221367(36) × 10^23
原子量 63.546u
と、1)で求めた銅線の重さから求めます。
化学の授業を思い出してください。
1molの原子の数は、アボガドロ数です。
1molの原子の重さは、原子量g(グラム)になります。
計算するとこの銅線の中の原子の個数は、0.66 x10^23 です。

3)銅は、原子1つにひとつの自由電子があるので、原子数=自由電子の数として、
1Aの電流は、1/(1.602x10^-19) = 6.2x10^18個の電子が銅線の断面を通過することなので、(6.2x10^18)/(6.6x10^22) = 9.4x10^-5
つまり、電子の平均速度は、0.1mm/Sより遅いということです。
別の求め方もあります。いずれにしても、え、っと思うほど遅いのです。
ちなみに銅線は良導体です。導体の内部には電界は発生しないので、電界によるドリフトはとても小さいと考えても、つじつまは合います。金属内部に1Vの電界を作ったとしたら、とても大きな電流が流れることになります。たとえば、1mで直径1mmの銅線に1.5Vの乾電池を接続したらどうなるか?


電池の内部抵抗でほぼ決まる電流がながれて、電池があっちっちになりそうです。でも、
まちがっても、この実験はやらないでください。
特に最近のアルカリ電池やリチウムイオン電池などはショートに弱くて、電池が破裂したりするかもしれません。なにが起きても筆者には責任がもてませんので絶対にやらないでください。

電気の伝わる速さ

電子の速度を求めるととても遅いことが分かりました。では、どうやって電気が伝わるのでしょう?
もし、電気が電子の速さで伝わるとしたら、電気に頼っている今の生活はどうなるのでしょう。スイッチを入れてから、数時間後にやっと明るくなる。考えられないほど不便になります。

それよりも、今、電気は交流で送られています。−から+に流れて、それが10mS後(50Hzの場合)には極性が反対になって、電子の移動する速さが94um/Sだから、あれ、電気が流れないということになってしまいます。
実際には、そんなこともなく電気は伝わり、スイッチを入れると瞬間的に明かりが点きます。
蛍光灯や最近の一部の電球型蛍光灯は明かくなるまで時間がかかるものがありますが、それは、蛍光灯などの構造による物です。

しかも、電気の伝わる速さは、光速と同じだと聞いてます。
と、いうことは、電気の伝わる速さは、電子の移動する速さではないと言うことが疑問としてでてきます。

では、どうやって伝わるのか?

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電気伝導と半導体物性、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタの特性に関する記事です。ここでは、設計に必要なパラメータと半導体物性による各素子の特性の関連に関しても言及しています。

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