Semicon 005 of Kairoya

半導体

PN接合

PN接合2(順方向)

P型半導体に+、N型半導体にーの電圧を加えます。この方向を順方向といいます。
このように、電圧を加えるとバンド図は、図のように変化します。
PNJct3FWDBias.jpg
エネルギーギャップは順方向バイアスによって、低くなっている。このときに、P型半導体には、N型半導体からエネルギーギャップを超えて、電子が流れ込み、流れ込んだ電子はP型半導体中のホールと結合して消滅します。このときの電子を少数キャリアと呼びます。また、逆にN型半導体からはホールが流れ込み、P型半導体中で電子と結合します。このときのホールもまた、N型半導体中では、少数キャリアと呼ばれます。
このときに重要なのは、P型半導体へ電子(少数キャリア)が注入され、ホールと結合するまで、P型半導体中を電界に引かれて移動するということです。これは、N型半導体中でも同様で、P型半導体からN型半導体へ電界に引かれて注入されたホール(少数キャリア)は、N型半導体中を移動します。
PN接合の電流は次の式で表されます。
ID1.jpg
Vt1.jpg
この式の中でIsとして表されているのは、飽和電流(Satulation current)と言われていて、逆方向に電圧を加えたときにbreakdownをする前にわずかに流れている電流の一部です。Isはおよそ1e-18Aから1e-16A程度です。
VTはサーマルボルテージと呼ばれています。

PNJct4RVSBias.jpg

PN接合3(逆方向)

P型半導体に−、N型半導体に+の電圧を加えます。この状態を逆方向バイアスといいます。このとき、バンド図は図のようになり、ホールと電子が障壁を越えるために必要なエネルギーは大きくなり、電流は流れにくくなります。
逆方向に電圧を加えた時に流れる微少な電流は、次の式で表されます。
ReverseCurrent1.jpg
この式のIgの部分は生成電流を表しています。
また、Id,p, id,nの部分は拡散電流を表しています。
生成電流は空乏層内で生じるキャリアによる電流で、拡散電流は、空乏層を除いたP領域、N領域で生じた小数キャリアが空乏層までたどり着き、空乏層を通り抜けて電流となる事を表しています。少数キャリアは、熱などのエネルギーを得ることで有る確率で発生しています。
この式のAは接合部分の面積です。
拡散電流は前の順方向電流のIsです。つまり、P型半導体の中で、生じる伝導電子(伝導帯に移動して電流になる電子)が、空乏層までたどり着き、N型半導体に加わっている+の電界によって電流になります。逆にN型半導体の中で生じたホールが空乏層までたどり着き、同様に電流になります。このことを考えてみると、IsはPN接合を構成するそれぞれの半導体の不純物濃度、接合の面積、温度などで変わることが分かります。

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半導体

半導体に関して

電気伝導と半導体物性、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタの特性に関する記事です。ここでは、設計に必要なパラメータと半導体物性による各素子の特性の関連に関しても言及しています。

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電子回路

電子回路の基礎

電子回路の基礎と応用に関しての記事です。基礎的な回路理論とバイポーラトランジスタ、MOSトランジスタを用いた回路理論の関連に関して書いています。

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