半導体
PN接合
PN接合2(順方向)
P型半導体に+、N型半導体にーの電圧を加えます。この方向を順方向といいます。
このように、電圧を加えるとバンド図は、図のように変化します。
エネルギーギャップは順方向バイアスによって、低くなっている。このときに、P型半導体には、N型半導体からエネルギーギャップを超えて、電子が流れ込み、流れ込んだ電子はP型半導体中のホールと結合して消滅します。このときの電子を少数キャリアと呼びます。また、逆にN型半導体からはホールが流れ込み、P型半導体中で電子と結合します。このときのホールもまた、N型半導体中では、少数キャリアと呼ばれます。
このときに重要なのは、P型半導体へ電子(少数キャリア)が注入され、ホールと結合するまで、P型半導体中を電界に引かれて移動するということです。これは、N型半導体中でも同様で、P型半導体からN型半導体へ電界に引かれて注入されたホール(少数キャリア)は、N型半導体中を移動します。
PN接合の電流は次の式で表されます。
この式の中でIsとして表されているのは、飽和電流(Satulation current)と言われていて、逆方向に電圧を加えたときにbreakdownをする前にわずかに流れている電流の一部です。Isはおよそ1e-18Aから1e-16A程度です。
VTはサーマルボルテージと呼ばれています。
PN接合3(逆方向)
P型半導体に−、N型半導体に+の電圧を加えます。この状態を逆方向バイアスといいます。このとき、バンド図は図のようになり、ホールと電子が障壁を越えるために必要なエネルギーは大きくなり、電流は流れにくくなります。
逆方向に電圧を加えた時に流れる微少な電流は、次の式で表されます。
この式のIgの部分は生成電流を表しています。
また、Id,p, id,nの部分は拡散電流を表しています。
生成電流は空乏層内で生じるキャリアによる電流で、拡散電流は、空乏層を除いたP領域、N領域で生じた小数キャリアが空乏層までたどり着き、空乏層を通り抜けて電流となる事を表しています。少数キャリアは、熱などのエネルギーを得ることで有る確率で発生しています。
この式のAは接合部分の面積です。
拡散電流は前の順方向電流のIsです。つまり、P型半導体の中で、生じる伝導電子(伝導帯に移動して電流になる電子)が、空乏層までたどり着き、N型半導体に加わっている+の電界によって電流になります。逆にN型半導体の中で生じたホールが空乏層までたどり着き、同様に電流になります。このことを考えてみると、IsはPN接合を構成するそれぞれの半導体の不純物濃度、接合の面積、温度などで変わることが分かります。