電子回路
増幅器
増幅器回路
バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタによる増幅器も、真空管(古い)による増幅器も前のgmを利用して表すと皆同じになります。
これらの素子で表すときに、出力抵抗を定義します。出力抵抗は、電圧源、電流源のところで述べたRoです。真空管の時代には、rp(プレート抵抗)、バイポーラトランジスタではrc(コレクタ抵抗)、MOSトランジスタでは、rd(ドレイン抵抗)と呼ばれています。
図を見てください。前とあまり変わりません。実際の回路はこれに負荷抵抗が付きますが、負荷抵抗を無限大とすると、このときの最大の電圧利得は、Av= -gm * rc になります。
真空管の時代には、μ=gm・rp と言い、μは電圧増幅度、gmは、相互コンダクタンス、rpはプレート抵抗です。このμ、gm、rpを真空管の三定数と言っていました。
微分抵抗などの話
実際に増幅回路を設計するときは、動作点(DCバイアス点)を決めて、そこに信号(動作点のDCバイアスに対する変化分)を入れて、その後、信号成分(出力側動作点のDCバイアスに対する変化分)を取り出すのが普通だと思います。ここで、信号は変化分と言うことが重要になります。
たとえば、図のように電圧を加えたときのバイポーラトランジスタのベース電圧−エミッタ間電圧Vbeとコレクタ電流Icの関係は式のようになります。
この式からVbeとIcのグラフを書くと、図のようなグラフになります。ここで、コレクタ電流が1mAになるようにベースに電圧を加えます。この電圧を1mV変化させると電流は約38.7uA変化します。gm=38.7u/1m= 38.7mS になります
kT/qをVt(サーマルボルテージ)といいます。バイポーラトランジスタの場合、これを利用すると、式が簡単になります。まず、re=1/gm と置きます。
あとは、
さらに、
となります。
RL'はrcとRLの合成抵抗です。
関連項目:バイポーラトランジスタのトランスコンダクタンス
バイポーラトランジスタ アーリー電圧
Spice系の回路シミュレータでAC解析と言うのは、あくまでもDC解析した動作点に対する伝達関数(微分係数)を求めているに他なりません。便宜的にAC=1Vのように書くので、結果に1,000Vの様に表示され、びっくりするかもしれませんが、あの意味は、Vout/Vin を求めるのに都合が良いので、1Vと書いている以外の意味はありません。その動作点で微少入力を入れたときの伝達関数を求めているだけですので、間違えないように!